歴史ある旧社屋から、2026年春に新社屋へとリニューアルを行った神鋼商事。新しく生まれ変わった社屋で、業務を行う中で感じる変化とは?工場部門の八巻と総務部門の山崎、本プロジェクトの発起人である弊社代表の山口に、新社屋を建設するに至った経緯や、今後の展望について話を聞きました。
積み重ねた歴史から、安心感が生まれる場所へ。
より強固になった社内コミュニケーションの絆
新社屋が完成した今、旧社屋の思い出は?
- 八巻さん
- 以前は、旧社屋1階に事務所があり別棟2階に男子更衣室がある構造だったので、着替えや休憩などはしやすい動線でしたが、朝礼の時以外で総務のメンバーや社長とコミュニケーションをとれる機会が少なかったのかな?と、いま改めて思い返すと少し感じたりもします。
- 山崎さん
- 私は、新社屋の建設工事がこれから始まるというタイミングで入社しました。なので旧社屋との接点はあまり多くはなかったのですが、所々で床の素材が剥がれていたり、長い歴史があるからこその老朽化が、少し気になっていました。
新社屋に関する社内での反響は?
- 八巻さん
- 新社屋では3階が男子更衣室になっているので、着替えに向かうまでのあいだに多くのスタッフと顔を合わせる機会が増え、自然とコミュニケーションが取りやすくなりましたね。旧社屋と比べて、特段用がなくても総務や営業のメンバーや社長とも気軽に話すことができるようになったのは嬉しいです。ちなみに、自分は社長に家庭のことまで相談させてもらうこともあって、その距離感の近さも新社屋がもたらしてくれていると思います。
- 山崎さん
- 床がコンクリートになり旧社屋のように素材が壊れたり剥がれることがなくなったので、「つまずかなそう!」とホッとしています(笑)。また、旧社屋は工場部門と総務部門とで食堂が別になっていたので、休憩時間に話したいと思っても機会があまりなかったのですが、新社屋では食堂が一つになったのでコミュニケーションがとりやすくなりました。今まであまり話すことがなかった先輩とも話せるようになったおかげで、ちょっとしたことでも声をかけやすく業務にも活きています。
新たな神鋼商事の象徴、新社屋。社員が描く期待と未来とは?
新社屋の、お気に入りポイントは?
- 八巻さん
- 3階に大きな窓があるんですけど、そこから見える相模川の景色がすごく気に入っています。自分はキャンプが趣味で、よく富士山のふもとにも行くんですけど、「富士山も見えたらいいのになぁ」と思いながらオフィスの窓から外の景色を楽しんでいます。それに、シャワールームもあるんです!これから暑い季節になって仕事をやり切った後にすぐシャワーを浴びれたら、汗も疲れも流してくれそうだなって。
- 山崎さん
- 女性目線としては、オフィスの壁紙や棚などに使われている目に優しいパステルカラーがカワイイのでテンションが上がります!このことを友人に話したんですけど、「羨ましい!」と言ってもらえて嬉しかったです(笑)。それから3階にある雲梯(うんてい)もポイントだと思います。健康を意識しながら運動するのは楽しいし、みんなで『さかあがりチャレンジ』と題して会社の公式Instagramに動画をアップしたので、是非見てみて下さい。
新社屋の完成をひとつの節目に、今後こういう「会社」「チーム」にしていきたい、といった想いはありますか?
- 八巻さん
- 自分はとにかく、「新人が働きやすい会社」にしていきたいですね。自分がこの会社に入社した時は、業界ならではの『人』『働き方』『環境』の名残りがまだあった印象でしたけど、ここ数年で神鋼商事はすごく洗練された現代的な会社へと変わってきていて、『新人が働きやすい会社』になってきていると思います。技術面も含めて、新しく入社する人が「成長したい」「頑張りたい」と思えるような会社にしていきたいです。
- 山崎さん
- 入社歴がまだそこまで長くない私にとっては、会社を知った時にはすでに神鋼商事は業界の中でも新しいことに対してチャレンジしている印象がありました。どうしても保守的なイメージのある業界ですが、新社屋の建設も含めて、スタッフやお客様・関係者はもちろん、業界としての在り方も見据え『新しいことにチャレンジする姿勢』が神鋼商事らしさだと思っています。歴史ある企業だからこその魅力は引き継ぎながら、これから入社する人や女性の目線に立った取り組みを積極的に行っていきたいです。
歴史を継承し次なるステージへ。
経営者の想いが具現化した新拠点と、その先の未来
新社屋を建設することになった背景とは?
- 山口
- 元々は15年くらい前から、個人的に社屋に対する課題はもっていました。当時、私は社長ではなかったので、会社として社屋を新しくすることへの費用対効果を正確に判断することができませんでした。ですが自分が社長になり、一企業としてのこれまでの歴史や今後の在り方、そして業界の現状などあらゆる面から物事を考えた際、新しい大きなチャレンジに踏み出す必要があると思いました。
「姿は俗性をあらわす」という言葉がありますが、これは企業経営においてもそのまま当てはまります。私たちが長年磨き続けてきた事業や技術を、相応しい現代的な形として昇華させることは企業ブランドの確立において重要なプロセスです。今回完成した新社屋はそういった想いを具体化したもので、従業員にとっては健康増進や仕事のしやすさを反映し、物理的にも精神的にも働きやすい環境となることを目指しました。そして、お客様や地域社会を包含したすべてのステークホルダーの皆様と有機的な繋がりを保ち、持続可能な社会を体現する拠点でありたいと考えています。
同業他社には、弊社の取り組みを参考にしてもらえたら嬉しいですし、お客様および関係者に対しては、あまり前例のないことへチャレンジする弊社の姿勢を知ってもらい、興味を持っていただけると幸いです。
独自のコンセプトを採択し、建設に至った経緯を教えてください。
- 山口
- パートナー選定の際に10社ほどご提案いただきましたが、意匠を現代的に整えただけの新社屋ではなく、私たちのビジョンを体現できるパートナーを探していました。多くの提案が既存の枠組みに留まる中、今回採択した333architects株式会社(トリプルスリーアーキテクツ)によるコンセプト、『SHINKOH CIRCLE(シンコウ・サークル)』は「環境と人への配慮」を体現したもので、定期的にミーティングを重ねる中で明確になった私たちの想いを汲み取り、想像を超える形で昇華させたものでした。
重視した点は、表層的なデザインやコストパフォーマンス、あるいは目先の合理性ではなく、企業の理念やビジョンを造形・機能ともに可視化した新社屋を建設すること。そしてこれまでの常識を超えて、こういった取り組みを形にする姿勢や価値を社会に示していくことが経営者としての責務だと考え舵を切りました。
新社屋が完成しましたが、改めて率直な感想を教えてください。
- 山口
- リサイクルや製品開発といった弊社の事業内容を想起させる重厚さに、現代的な意匠が溶け込んだ佇まいに仕上がったと思っています。
また外観以外にも、解体時の再利用や資源化を前提にした構造や、多様な人材がのびのびと働けることを意識した色彩設計、その他にも女性目線を配慮した設備の拡充、社員の心身の健康と生産性の向上を見据えた開放的な窓や雲梯(うんてい)を設置していたりと、『SHINKOH CIRCLE』というコンセプトに相応しい拠点になったと自負しています。 開放感のある高い天井や、部門を隔てることなく人が自然と集まる食堂も相まって、以前より活発なコミュニケーションで組織の結びつきが強固になっているのを肌で感じます。
また、いつでも社内のメンバーと顔を合わせられるように、みんなが集まる食堂のすぐ側に社長室を設置したことは、非常に価値のある判断でしたし、シャワールームは私も利用しており、ランニングで出勤した際に使ったりして、メリハリのある生活を送ることができています。
新社屋を軸に加速する「挑戦と変化を止めない組織」の誇り
新社屋における今後の展望はありますか?
- 山口
- 私たちはこの新社屋の完成を、一つの到達点ではなく、新たな出発点だと捉えています。有事の際も含めて地域社会を支える「拠り所」としての役割を果たしつつ、同時に、神鋼商事の思想や挑戦を社会へ届ける「広報塔」として継続してアップデートしていきます。
過去に相模川の増水を目の当たりにしたことがあり、その教訓から新社屋は基礎を高く設計して、非常用生活用水の確保などに加え避難所としても機能する構造を備えました。この新社屋には、災害時の地域の人々にとって「安心・安全な存在として機能し続ける」という決意も込められています。また、「工場」というと、地域の中にありながら「閉鎖された場」になりがちなため、近隣の小学校や中学校と連携した会社見学会の積極的な開催も視野に入れています。
一方で、この新社屋自体が私たちの金属マテリアル事業への向き合い方を伝える戦略的な情報発信の拠点でもあります。リサイクル資材が利用された造作壁を設置したエントランスや、「工場」らしい雰囲気のあるステンシル調にデザインされたサインなど、来訪される方々が私たちの思想を感じ取ってもらえるような仕掛けを建物の随所に取り入れているのもポイントです。今後は、SNS等を通じた「働く人の姿」のさらなる発信の強化や、自然エネルギーを利用した発電設備の導入など多角的に取り組んでいく予定です。
会社として、今後どういったビジョンを描いていますか?
- 山口
- 現代では単一のサービスや集客方法ありきでは差別化が難しい時代です。競争優位性における強みとして、この新社屋を皮切りに、これからも自社の良さを受け継ぎ活かしながら、いまの時代に沿った文脈を意識して『人』『働き方』に焦点をおいた弊社らしい取り組みに挑戦していきます。弊社の経営理念でもある「未来永劫必要とされる企業〜」であるためには現状維持では不十分で、事業内容をアップデートしていく構想も練っています。将来的には、「昔は鉄のスクラップ屋だったんだよね」と言えるような、変化を恐れない会社でありたいと考えています。
- 取材日:2026年4月
- 文:宮脇拓也(MULTiPLE Inc.)
- 写真:平藤篤(MULTiPLE Inc.)

